2018年7月16〜17日で、未承認国家『沿ドニエストル共和国』に行ってきました!
国際社会から国として認められていない未承認国家『沿ドニエストル共和国』。場所は東ヨーロッパ・モルドバ共和国の中にあります。未承認首都はティラスポリ。ウクライナの国境近くに位置し、ドニエストル川に沿っているため、"沿"ドニエストルと言います。
▼場所はこの辺りです。オレンジの部分が沿ドニエストル。
そもそも、なぜこの国は『未承認』の国家なのでしょうか。
かつて、ソ連が崩壊してモルドバが独立した際、モルドバではルーマニア民族主義が台頭。しかし、ルーマニア系住民に国を統治されること嫌ったロシア系住民たちが、『沿ドニエストル共和国』として独立を宣言し、1992年にはモルドバと沿ドニエストルは戦争に突入しました。戦争は約2ヶ月半で休戦協定が交わされましたが、その後も沿ドニエストルはモルドバ内で事実上独立状態で現在に至っています。
そんな謎の国家・沿ドニエストルですが、モルドバと沿ドニエストルの両国民は、現在は身分証があれば自由に行き来することは可能なようで、バスは頻繁に出ているそう。
そんなに簡単に行けるなら・・・
ということで、せっかくモルドバまで行ったので、日帰りで沿ドニエストルにも行ってきました。そしたら予想以上に簡単に行けてしまいました!
▼沿ドニエストル・ティラスポリのバスターミナルにて
ということで、今回は沿ドニエストルまでの行き方をまとめました。行かれる方は是非参考にしてください!行かれる予定のない方も読むだけで行った気になれると思います(笑)
13:50 キシナウのバスターミナル到着
「GALA AUTO」と呼ばれるバスターミナルへ。ここが、沿ドニエストル行きのバスが出ているところになります。最初はタクシーで行こうと思っていましたが、入国審査とか手続きがあるようなので、路線バスを選択。
地図でいうとココ↓
https://goo.gl/maps/o9y8DJK1g9L2
沿ドニエストルの首都『ティラスポリ』行きは、建物を正面に見て、中央右手の奥に行ったところにチケット売り場があります。ホールの中ではなく、外です。
ここで、「ティラスポリ」と言えば、チケットを購入できます。チケットは36.5モルドバレイ(約245円)。買ったらもらえるレシートがチケットの代わりになるので無くさないように!ここでパスポートの提示は求められません。
13:55 沿ドニエストル行きのバスに乗車
次はバスに乗車。バスはチケット売り場に向かって左の奥あたりから出るみたいです。僕は切符売り場の人が、バスのナンバープレートを書いてくれて、どのバスに乗れば良いか教えてくれました。
チケットの裏に手書きで書いてくれたナンバープレートの番号を手掛かりにバスを探すとすぐに発見。行き先の「ティラスポリ」と発車時刻の「14:10」が大きく書いてありました。そして、なんとWi-Fiも使えるとのこと!これは有り難い!
万が一、バスが見つからなかったとしても大丈夫。他のバス待ちの人に「ティラスポリ」と言えば、どの辺に行けばいいか教えてくれました。また、発車直前になると、運転手さんが「ティラスポリ!ティラスポリ!」と言って乗る人を探していました。
14:15 バス出発!いざ、沿ドニエストルへ!
ほぼ満員になって、定刻5分遅れでバス発車。車内でお金を払っている人もいたので、最悪切符買わなくても大丈夫みたいです。
クーラーが付いておらず、窓は開かないので、車内はめちゃくちゃ暑いです。乗る前に水を買っておいて良かった。僕が買った水は750mlで9モルドバレイ(約60円)。ちなみにWi-Fiは本当に使えました!僕のバスは入口あたりにパスワードが書いてありました。(帰りのバスはWi-Fiがなかったので、Wi-Fiは乗るバスによるみたいです)
街を抜けると、バスはのどかな田園風景の中を走っていきます。たくさんひまわり畑を見かけました。
ちなみに途中でも人が乗ってきます。最終的には立って乗る人までいるくらい、バスはいっぱいになりました。
15:20 沿ドニエストルの国境に到着!
国境に到着すると、外国人はバスを降りて、イミグレーションに向かわなくてはいけません。この建物がイミグレーション。中で入国審査を受けます。
中に入ると入国審査官が2名。窓口越しの入国審査。しかし、入国審査は簡単なものでした。パスポートを渡すと、僕は英語で2つの質問をされました。
「Tourist?(観光?)」→Yes
「Today back?(今日帰るか?)」→Yes
以上です。お金も必要ありません。すると程なくして、入国証明書みたいな紙を渡されました。これは帰りにも確認されるので大切に保管しておきましょう。入国審査の所要時間は3分ほどでした。
ちなみにモルドバの人は、バスの中に入ってきた入国審査官に身分証明書を見せるだけです。
バスに戻り、バスが発車。入国ゲート(柵とかがあるわけじゃない)でバスも検査を受けます。
そして無事入国!あっさり入国できました。
15:35 沿ドニエストル入国!
無事に沿ドニエストルに入国したバスは、もう少し田園風景の中を走ります。モルドバ同様、ひまわり畑が広がります。
少し走ると、市街地へ。ティラスポリの街の中に入ったようです。そこはキシナウと全く変わらない風景。変わったことといえば、沿ドニエストルの国旗が至る所に掲げられているくらいです。
▼ロシア正教の協会
▼何かの記念っぽい門
▼国旗が掲げられている戦車
▼国旗のカラーで何か書かれている看板
15:50 バスターミナル到着
キシナウを出て1時間半ほどで、ティラスポリのバスターミナルに到着しました。ソ連時代からある建物でしょうか?歴史を感じる建物が迎えてくれます。
バスターミナルに両替所があるので、早速現地通貨の沿ドニエストル・ルーブルを入手しました。モルドバレイ3,000円分ほど両替しました。結局、ほぼ使いませんでしたが(後述します)。
確実に今日中のバスに乗らないと捕まるので、帰りのバスの時刻も確認。キシナウ行きのバスのチケット売り場は建物向かって左側にある「KACCA」と書かれた入口の奥にあります。
中に入ると壁一面に時刻表がありました。
キシナウ行きのバスを見てみると、かなり本数があり、最終バスは18:45のようでした。さすがに最終は不安なので、余裕を持って戻ってくることにしました。
16:10 沿ドニエストル共和国へ潜入!市内観光!
バスターミナル内で「タクシー?」と声をかけられましたが、せっかくなので徒歩での観光を選択。バスターミナルから出る一本道を歩くことに。バスターミナルから5分歩いたところに、公園があり、ロシア正教の影響を受けているであろう教会がありました。
門を抜けると・・。
街を歩くと、街は木々が溢れており、のんびりした雰囲気が漂っています。
気の赴くままに、人が歩いている方に向かって歩きます。これはおそらく政府の施設。レーニン像がありました。
標識が可愛いです。
お惣菜屋さんもありました。地元料理でしょうか。どれも美味しそう。
17:00 タクシーに乗車!すると…!
そんなこんなで街を散策していると時刻は17:00を過ぎていました。最終バスが出発する18:45までに、確実にバスターミナルへ戻らないといけません!
本当は食事をしたかったのですが、地元料理のレストランが見つからず、探しているうちに帰れなくなって捕まっても大変なので、バスターミナルへ戻ることに。ちなみに、レストランやカフェは点在していましたが、あまり数はありませんでした。
ここからバスターミナルまでは2kmくらいあるので、せっかくなのでタクシーに乗ってみることに。大きな道であれば、結構な頻度でタクシーを見かけました。
日本と同じように手を挙げてタクシーを止めます。そして乗ってみると、タクシーはスマホを使ったメータータクシー。料金も安心ですが、それ以上に未承認の独立国で古くからあるであろう建物もたくさん残るのに、その辺りは発展していてビックリしました。
17:30 バスターミナル到着!
キシナウまでの帰りの切符を買います。またレシートを渡されて、それが切符になる方式。ここでのパスポートの提示は不要です。バスの料金は、沿ドニエストル・ルーブルだと39.95ルーブル(約300円)、モルドバレイだと70レイ(約470円)と、どちらの通貨も使えますが、金額が異なりました。
切符売り場の外には飲み物や食べ物を売る売店があります。バスの暑さを危惧して、水を購入。余ったお金は両替所で両替しましょう。沿ドニエストル共和国の貨幣は、当然ですがこの国でしか使えません。3,000円分ほど両替しましたが、結局使ったのは1,000円くらいでした。モルドバレイも使えるみたいですし、食事をしなければ少額の両替で良さそうです。
17:50 帰りのバスに乗車!
行きとは違うレトロなバスに乗車。今回はWi-Fiは使えない様子。その代わりにクーラーがついていました!風量は弱冷車ばりの弱さでしたが。
途中、何度かバス停に寄り、いよいよ国境へ向かいます!
18:20 沿ドニエストル共和国、出国!
沿ドニエストル共和国の出国は簡単です。モルドバ側の入国審査はありません。なぜなら、モルドバにとっては沿ドニエストル共和国はモルドバ国内だから。ですので、あるのは沿ドニエストル共和国側の簡単な出国審査だけです。
国境に着くと、バスの中に入国審査官が乗り込んできて、パスポートを確認していきます。パスポートと入国審査時にもらった入国証明書を見せればOK。特に何も聞かれませんでした。ちなみに入国証明書はそのままもらえるので、持ち帰ることが可能です。
19:55 キシナウ到着!
バスに揺られること、およそ2時間。無事、行きと同じバスターミナルに戻ってくることができました。
以上、未承認国家『沿ドニエストル共和国』体験レポートでした!
旧ソ連の雰囲気で、未承認国家というドキドキ感まで味わえるのは沿ドニエストルしかありません!もし、東欧やロシアに行く機会があれば、フラっと立ち寄ってみることをオススメします!
ただし、世界遺産などの見所があるわけではないので、そこは期待しないでください(笑)